2022.01.28 特集
早いものでまもなく立春。
今から150年前の明治5年に太陽暦が採用されるまで、日本では長いあいだ太陰暦を使っていました。立春から一年がはじまり大寒で一年が締めくくられ、季節の巡りに合わせた太陰暦(旧暦)には、心と体で感じる日々の楽しみが満ちているように感じます。
そして立春の前日が節分。
もともと節分は、立春・立夏・立秋・立冬の前日のことをいいますが、今日では旧暦の年の最後となる立春の節分を指すようになりました。つまり「立春」が正月で「節分」は大晦日です。
実は私の誕生日は2月3日。数十年「節分が私の誕生日」だと何の疑いもなく生きてきました。しかしなんと!昨年は2月2日が節分でした。
一年間を二十四節気に当てはめて運用すると少しずつずれが生じるため、うるう年のように調整のためにずらすそうです。無知でお恥ずかしい限りですが昨年は正直驚きました。しかも1984年にも節分がずれて2月4日になっていたとは…。
ちなみに2025年と2029年にはまた2月2日が節分になるそうです。
旧暦では大晦日に当たる「節分」。幼稚園や子ども会、そしてご家庭で豆まきをしたり、スーパーやコンビニの扇動か、いつの間にか全国行事のようになった恵方巻きを食べる習慣など、節分は季節のイベントとしても親しまれていますが、行事の意義を知るともっとご利益を賜るかもしれません。
最近は枡や袋に入った炒った大豆「福豆」をお店で購入される方が多いと思いますが、昔は節分の前日に大豆を炒って枡に入れて神棚にあげておきました。豆は五穀の象徴で、農耕民族である日本人は神が宿ると考えていたそうです。また豆は魔目にも通じ、豆を炒るとは鬼(邪気)の目を射るという意味があります。
ところで、節分の豆といえば大豆だと私は思っていましたが、北陸の友人宅では落花生をまくそうです。
調べてみると北海道や東北、宮崎・鹿児島なども大豆ではなく殻付きの落花生を使う。地元で採れる、芽が出ない、散らばらない、拾いやすい、拾って食べるのに抵抗がないと、いいことづくめですね。
豆をまくのは鬼が出るという深夜(丑寅の刻)午後8時〜10時ぐらいが良いとされています。
家の奥から玄関まで順番に外へ向かって「鬼は外!」と、部屋に向かって「福は内!」と豆を投げます。
玄関や窓から「鬼は外!」と投げたら、鬼が戻らないようにすぐに戸締りします。
そして豆まきが終わったら、翌日の立春で一つ歳をとるので、豆を自分の年齢より一つ多く食べる。豆が苦手だったり、「そんなに豆なんか食べられないよ〜」という方は、「福茶」をいただくのでも大丈夫です。
無病息災や開運、厄除けを願って、全国の神社仏閣では様々な特色ある節分会が行われています。
毎年著名人が特別舞台から豆まきをする成田山新勝寺を初め不動明王を本尊とする各地の成田山では、不動明王が常に鬼を追い払っているということで「鬼は外」という掛け声はありません。
鬼面を寺宝としている名古屋の大須観音や、三社祭で有名な浅草寺も観音様の前には鬼はいないという考えから「鬼は外」とは言いません。
さらに興味深いのは、日本では鬼は邪悪なものばかりではなく、鬼神として祀りご加護があるとして考えられているため「鬼は内!」と掛け声をかける神社やお寺が数多くあることです。
またお家の事情で「鬼は外!」と言わない風習もあります。
紀伊熊野地方の豪族「九鬼氏」がおさめていた地方や、同じく苗字に「鬼」がつく鬼頭さんや鬼塚さんなどの家系。鬼は「大荷」に通じと商売繁盛のために「鬼(大荷)は内」とあえて言う伝統的な商家。さらにワタナベ一門も、平安時代に祖先が鬼退治をしたので節分に鬼退治をする必要がないと言い伝えられているそうです。
こうしてみると豆まき一つとってもやり方は様々。昔からお家の事情に合わせて忖度して行っていたようです。
豆をまくのは家の主人の役割とか、年男・年女・厄年の人がすると縁起が良いとも言われていますが、小さなお子さんがいるご家庭ではお父さんが鬼の面を被り、お子さんが豆をまくというスタイルが大半のはず。
優しく子煩悩なお父さんには、伝統的な商家でなくても「鬼は内」と言ってあげたいですね。
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